ヒューマンエラー|ニュースレターNO.026

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先月、ロシアにマトヴェーエフ氏を尋ねてきました。ご自宅でいろんなお話を伺い、マトヴェーエフ氏の知識の広さと深さにただただ驚かされました。そしてアスリートを育てるためにどのようにデータを集め、分析するか、その応用性と緻密さが重要である事を十分教えていただきました。

さて、今回は、「分析」というテーマで考えてみたいと思います。4月にテレビでフランスの最新ハイテク飛行機がテストフライトの着陸に失敗し、爆発炎上した原因について取り上げた番組がありました。

ベテランパイロットの操縦にもかかわらず事故が起こってしまったそうです。その原因を追求するというものでしたが、事故の原因は人為的ミス、「ヒューマンエラー」によるものであったということです。

『ベテランがゆえに、目を閉じても操縦できるはずが・・・ なぜミスを・・・』

このことは、スポーツ選手にも言えるし、指導者にもいえるのではないかと思います。初心者レベルの選手やレベルの低い選手を指導するならば、ほとんどの選手は何かができない状況であり、なぜできないのかも十分理解することができます。

ミスをする確率も当然高いわけですから、その失敗もすぐに発見し、修正することも容易です。しかしレベルの高いアスリートやそのレベルで指導する者にとっては、ついついミスの原因を見逃してしまったり、ミスの原因が解らなくなってしまう事が起こると考えられます。

トップ選手があるレベルまで来たときに起こるプラトー現象や不調についても同様に考えられないでしょうか。

ヒューマンエラーには、「ミステイク」と「スリップ」の2つがあるそうです。

通常、人間の行動は、認識→判断→動作(行動)のパターンをとります。「ミステイク」というのは、最初の認識から判断の過程で起こるミスだということです。一例としては、居酒屋で醤油とソースを間違ってかけてしまうということがあげられます。

それは日ごろ赤いキャップが醤油であるのが、居酒屋では赤いキャップがソースになっていたというようなことです。赤いキャップを見たときに、ふと醤油であると判断してしまったということです。いわゆる予測の間違いだといわれます。

次の「スリップ」は、判断から動作(行動)の過程で起こるミスだということです。例えば、外出前に化粧をしている時に電話がかかり、その電話に話し込んでしまった。その後、時間がなくなり、急いで家を出たが、頭にカールをしたままであったというものです。 からだが覚えこんだ状態というのは、無意識な動作であり、記憶されないそうです。

「ミステイク」と「スリップ」のいずれも、何かのきっかけでミスを犯すものであり、自分の間違いを見つけることが難しいということです。

いつもできることが、いつものパフォーマンスが、訳もわからなくできなくなるというスポーツの現場を考えれば、そのまま同じことが言えるのではないでしょうか。すなわち、どのようにパフォーマンスの停滞やレベルダウンの原因を見つければよいのかということです。

無意識にできる動作でパフォーマンスを発揮している状況では、今どのような動きになっていたのか、ほとんど記憶されていないといえるのではないでしょうか。その手順が間違っていたのか、タイミングがずれていたのか、自分で判断できなくなるということです。

これを解決するには、もう一度初心、基礎・基本に戻って、動作の手順を再確認することです。また、その動作に問題がなければ、コンディショニングのいずれかの要素がレベルダウンしていないか、またメンタル面、食事・栄養面、睡眠などに問題がなかったのか、いろんな方向から分析してみるということです。

場合によっては、数年前までさかのぼって分析してみる必要もあるでしょう。振り返って役立つデータの蓄積が必要になるということです。

ヒューマンエラーは、あらゆる環境で、問題の分析、解決・改善策を見つける上で大いに参考にできるものだと思います。当然、パフォーマンスに関わるものだけではなく、リハビリテーションが上手くいかない場合にも、どこかでミスをしていることが考えられるわけですから、その考え方の活用は多岐にわたると思います。

1つ1つの分析ができるということは、逆にパフォーマンスを高めたり、リハビリテーションに必要な要素も理解できているということになるでしょう。それが、ミスの原因を見つけられない、見つからない、対策がない、アイデアが浮かばないというのであれば、指導者としてもトレーナーとしてもまだまだこれからと言えるでしょう。

また考え方が直線的にはなっていないでしょうか。あたまの中は常に柔軟でありたいものです。

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